遺言の種類
遺言にはいくつかの種類がありますが、一般的に良く用いられるのは、1.「自筆証書遺言」、2.「公正証書遺言」の二つです。
1.「自筆証書遺言」
遺言者が、全文、日付、氏名を自書したうえで、これに印を押すことによって成立する遺言です。
証人の必要もなく、いつでも、どこでも作成することができます。
厳格に方式が定められているのが特徴で、例えば”11月吉日”のように、作成年月日が明確に書かれていなかったり、押印がなかったり、法の定める方式を満たさない遺言は、全体が無効になってしまいます。
相続発生後、家庭裁判所での”検認”手続きが必要になるのも自筆証書遺言の特徴の一つです。
検認とは、
1.相続人に対して遺言書が存在することを知らせる
2.遺言書の形状、日付、署名、加除訂正の有無など、検認の日現在における遺言書の状態を明確にして遺言書の偽造・変造を防止する
ための手続きをいいます。
なお、検認は遺言書の有効、無効を判断する手続きではないことに注意が必要です。方式を満たさない遺言書は無効です。
※検認手続きを経ていない遺言書では不動産の名義変更の手続きができません。
2.「公正証書遺言」
証人二人以上の立会いのもと、公証人が、遺言者の口述による遺言の趣旨をもとに作成する遺言です。遺言書の作成に手続きのプロである公証人が関与しますので、方式を満たさないことによる無効の心配はありません。
公証役場や、立会いをする証人の費用が必要になりますが、公正証書遺言は家庭裁判所での”検認”手続が不要になりますので、相続発生後、迅速に遺産承継手続きをとることができます。
また、遺言書の原本が公証人役場に保管されますので、万一遺言書を紛失してしまった場合には、ご本人(ご本人が亡くなった後は相続人)が遺言書の謄本の再交付を受けることができます。
※所定の手数料が必要となります。
なお、一部を除き、昭和64年1月1日以降、全国の公証人役場で作成された公正証書遺言の遺言者等の情報は、日本公証人連合会のコンピュータに登録されています。
遺言者は公証人役場で遺言書を作成したことを相続人に伝えておけば、相続開始後、相続人はそれを手掛かりに遺言書を発見することができます。
公証人役場での遺言の調査には、一般的に以下の書類が必要となります。
・被相続人の死亡の事実が記載された戸籍謄本
・調査依頼者が相続人であることを証する戸籍謄本
・身分証明書
詳しくは最寄りの公証人役場にお問い合わせ下さい。
遺言の種類と比較
公正証書遺言 | 自筆証書遺言 | |
有利な点 |
・遺言者の死亡後、直ちに遺言を執行できる |
・時間や場所を選ばず作成できる |
不利な点 | ・費用が必要 |
・形式の不備で無効になる可能性がある |
公正証書遺言がお勧めです
自筆証書遺言での登記のご相談をいただくことがありますが、中には物件等の記載内容が不明瞭のため、使用できない遺言書もあります。
遺言書作成における方式を満たした遺言書であっても、肝心の内容に不備があると遺言書の目的を達成できません。このような理由から、弊所では公正証書遺言をお勧めしております。
司法書士古畑佑樹事務所では、文案等の作成から公証役場での遺言の立会いまでお手伝いをすることが可能です。お気軽にご相談下さい。